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ABCは知ってても |
昨年末頃からひどくなった数字へのこだわり、 時計を読みカレンダーを読みチラシの値段を読みビデオのカウンターを読み、絵本を開けばページ番号を読み、車に乗れば速度標識を読み、スーパーに買い物に行けば通路番号レジ番号お会計金額、散歩に出れば車のナンバープレート、いやはや一日中数字の羅列である。例によってそのうち止むだろうと静観していた母も、一ヶ月が過ぎ二ヶ月が過ぎ半年近くも続くとさすがに発狂しそうになった。
文字を覚えるとコミュニケーションが楽になる、という話を聞き一念発起、3才の誕生日プレゼントは「ひらがなおぼえちゃおう!」ひらがなの書かれたスイッチを押すとその字を読み上げてくれるという便利な機械だ。思ったとおり、親が相手しなくても一人で黙々とスイッチを押し続けている。こりゃ楽だ。と思っていたら、あっという間に故障したのか、電源を入れただけで音声が「いいいいいいい」と暴走を始めた。たちまちパニックに陥るあきのすけ。これだから電子音系のおもちゃは困る。
作戦変更。 学研の、お風呂に貼るポスター。ひらがなとカタカナ、「あ」ならアヒルの絵が描いてあり、お湯をかけると「あひる」の文字が浮き出る。これはあき父のツボにはまり、週末ごとに長風呂しながらせっせと教えていたようだ。 百円均一の、アルファベットの型はめパズル。仮名は50あるがABCなら26文字だ、どうせアメリカに行くんだから覚えといて損はないだろう。以前からお風呂でABC songを時々歌っていたので、歌いながら一文字ずつ指差してやる。そのうち、自分で歌いながら指差したり並べたりし始めた。
おかげで数字へのこだわりは一部ABCへのこだわりに転化された。しかし今度は、あき父が仕事をしようとノートパソコンを開くと、「えーびーしー!」と叫びながらキーボードを触りにくる。これでは仕事にならないというので(家で仕事しなきゃいいのだが)、あきのすけに父ちゃんのお下がりのiMacが与えられた。Wordを立ち上げて英数字入力モードにしておくと、延々と「ABC…123…」と入力し続ける。恐ろしいことにBACK SPACEもCAPS LOCKも使い方をマスターして、小文字まで覚えてしまった。 じゃあひらがなも、とかな入力モードにすると、「あいうえお」ではなく「ちこそしいはき…」そう、押す順番はあくまでABCなのだ。いかん、このままではA=ち、という、タイピングには便利だが実生活では役に立たない意味のない情報がインプットされてしまう。 せっかくだがiMacも封印。 しかしお風呂ポスターの五十音を指差しながらABC、おもちゃ篭の網目を指差しながらABC、うーん完璧に数字と混同している。
次なるあき母の企みは、三才児にローマ字を教えること。さっき、ひらがなカタカナローマ字の対照表を作成した。 断っておくが、あき母は決して早期教育志向ではない。と自分では思っている。英語だって、アメリカで覚えれば覚えただがまずは日本語優先、それでなくても言語面が弱いのにバイリンガルなんて大それたことを要求するつもりはさらさらない。 だが「A=ち」は困る。どうせなら、ABCと日本語の正しい関係を覚えてほしい。 でも、本当に覚えたら怖いかも。と、心のどこかで思っている。
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