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スモールステップ |
自閉症に関する親向けの入門書などを読むと、決まって「課題設定はスモールステップで」と書いてある。しかしどのくらいスモールにすればいいのか、これがさっぱりわからない。 初めてHACの課題を見たときには(当時はそれが自閉っ子向けとは思っていなかったわけだが)そのあまりの細かさに度肝を抜かれた。 例えば「いないいないばあ」遊びをするとき、親としては (1)「ばあ」をした時にキャラキャラ笑ってくれる とか、 (2)子供の顔に布をかけると自分で取って「ばあ」と発声する とか、 そういうレベルを、当然のように期待する。当時購入していた育児雑誌にも、そういうやり取り遊びを楽しんでいる親子の絵が書いてあったりした。 ところがHAC課題では(1)は全7段階のうちの3番め、(2)は最終段階なのだ。その途中にどういう段階が設定してあるかは著作権の関係で割愛しますが、シロートの親には「こういう反応があったらワンランクアップ」みたいな発想は、ちょっと出てこない。一生懸命「いないいないばあ」をしてみるのだけれど子供はちっとも笑わないので、嫌になって止めてしまうわけです。
もちろん子供個々の好みや能力、つまづいてしまうポイントは様々だし、親も慣れてくると子供の様子を見ながら要求レベルを下げることができるようになってくるのだけれど、 生活習慣などで親にとってはもう無意識でやっている動作はどのように教えればいいのか、はたと困ってしまうことが時々あります。 寝返りの時に体の下になってしまった腕はどうやって抜くのだろうとか。 スプーンでご飯を食べる時の腕の使い方とか。 Tシャツの脱ぎ方とか、ボタンのかけ方とか。 ウンチの後のお尻の拭き方とか。 深く考えているとこんな複雑なことを自分はどうやって習得したんだろう、という気分になってきます。でもそう思っていたことはすぐ忘れて、つい子供を叱ってしまったりします。そんな時のあきのすけは、きっと歩き方を忘れて足が絡まってしまったムカデのような心境なのでしょう。
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