HANEN session2
興味の対象が限定されている自閉症児を、親がさせたいことに誘ってもなかなかうまくいかない。ならば、彼らがとらわれていることをそのまま関わり遊びにしてしまおう。 というのが今回のテーマ。 まずは前回の宿題、To Do At Home#1の実施報告。「待つ」ことで子供がどのような反応を示したかを、出席者が任意に話す。 (他の人が話した内容は聞き取れず。 あきのすけの場合はシャボン玉を「フーして」、膨らませた風船に描いてある顔を見て「わらってる」、飛ばすよう要求して「いち、にぃ、さん」などと言うようになった。風船が膨らむのを期待してケタケタ笑うことも。) 最初のキーワードはOWL、これは次の三つの言葉の頭文字(英語で「ふくろう」を意味する語呂合わせになっている)。 Observing(子供が何に興味を持っているか「観る」) Waiting(子供がメッセージを発するのを「待つ」) Listening(子供が発する“ことば”を「聴く」)
これで興味の対象がわかったら、次のキーワードはFour “I”、 1. Include your child’s interests(子供が興味を持っているものを取り入れる) 2. Interpret(通訳する) 3. Imitate(マネをする) 4. Intrude(侵入する) 1. Includeは、「共感」の手法にあたると思われる。 例)子供が鳥をじっと見ていたら、それを指差して「鳥だよ」と言ってやる。 コツは子供と正面から向き合うことface to face、交代で何かをしたり、視線を合わせたり、口の動かし方を真似したりできるから。 2. Interpretは、子供が発するサインに形を与えてやる作業。 例)車の鍵をもてあそんでいたら「お外行きたい?」と声をかける。 例)見ている物の名前を教える。「えほん」「ピザ」…ゆっくり、はっきりとした口調で。 これは、子供が「もしできるならそうするであろう」ことのお手本modelを示す作業。子供が自分の意思を他者に伝えるために、その場でするべき動作(身体モデル)、言うべき言葉(言語モデル)の例を提示し続ける、ということ。 No, Don’t, Pleaseなどいろんな目的に使える簡潔な言葉を多用すると良い。 エコラリアのある子に対しては、 強調したい言葉を最後に持ってくる、 指示部分(「~だよ」とか「~って言ってごらん」)は省く、などの注意が必要。 3. Imitateは、子供の動作や音声を大人の側が真似ること(「ミラーリング」「モニタリング」と言われる手法ですね)。 そのうち子供のほうも大人の動作を真似るようになる、うまくいかないようなら手を取って真似るよう援助し、うまく出来たらほめる。強制しないで、楽しく。 おもちゃを使った遊び(例:車を押す)→おもちゃを使わない遊び(例:鼻を触る)→音声模倣(例:動物の鳴きまね)というように難易度を上げていく。 4. Intrudeは、さしずめ子供の一人遊びにちょっかいを出すというところ。 機嫌よくひとり遊びをしているところに親が手出し口出ししてくれば、最初は子供は怒ります。でもここであきらめないで介入し続けることで、人と遊ぶのが楽しいと気づいてくれるはず。 そのためのテクニックの例 ・部屋を無目的に走り回る →通り道をふさぐ。道をあけるときに“Go!”の合図。「とおせんぼ」遊びに早代わり。 ・テーブルから物を落とす →籠か箱を持ってきて受け止める。受け止めたものを手渡す。 ・物を一列に並べる →並べているパーツを親が確保し、ひとつずつ手渡す。 車ばかりを並べているなら積み木など、わざと違うものを混ぜてみる。「違うよ」のサインが出ればしめたもの。 見つけやすいところに隠して探させる。 ・自分の興味のあることばかり話し続けようとする →話題を変える。「もう一度言い終わったら、次は~の話をしよう」 直前の話題の「穴埋め」をさせる。「今日は学校でお絵かきをして、それから?」 子供が理解できる表現で話しかける。 そして今回の宿題は、Four “I”を次回の家庭訪問までに各家庭で実施すること。 例えばIntrudeについては ・子供の好きなひとり遊びの例を挙げ、 ・それをどのように関わり遊びに変えるか。 という用紙が渡された。 あきのすけの最近はまっている遊びといえばやはりABCビーズ。 普段は作る言葉のお手本を紙に書いて渡して一人でやらせているが、欲しい文字を言わせるとか、ビーズを私が一個ずつ渡すとか、渡さないでどっちの手に隠したか当てさせるとかすれば良いコミュニケーション遊びになる。さっそく昼食後にやってみたら大いに盛り上がった。 でもほんの少し前までは、遊びになるどころか、怒り出すか諦めるかだったなあ。 今回のセッションは講義主体のスタイルだったのでかなり辛かった。テキストを予習していたので言わんとすることはだいたい分かるが、相変わらず他の参加者の話はほとんど聞きとれない。ふう。 「分からないことがあったらe-mailで質問してね」とP先生は言ってくださるのだが、何が分からないのか分からない状態かも(苦笑)
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