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受験シーズンへ |
「共通試験の受験料、自分で振り込むよう担任に言われたのでお金を下さい」
いつものように登校前、駅へ送る車中で A太郎からそう頼まれた。
『これから大人になっていく人たちとして扱ってあげて下さい』 保護者説明会では学校側からそんな言葉も出た。 自分たちの頃とはずいぶん変わった受験事情。 科目の選択とか、出願書類の記入とか、もちろん学校と相談しながらだけど、基本は全部自分でやる。らしい。
私がしてやったのは、大学案内の本と、志望校の赤本を買ってやったことぐらい。 あとオープンキャンパス、去年のうちに行っておいて本当に良かった。 もう少しして志望校が確定したら、学生会館と、受験用の宿の予約もしてやらなきゃ。
「障がい者用の特別配慮は、どうします?」と担任からご提案もいただいたけれど 「別室受験とか、かえって緊張するから」とA太郎も言うし 実際、試験の類はずっとみんなと同じように受けてきたので 「申請しません」と 言ったけど、でもなんだかもったいないような、微妙な迷いと緊張感。
受験制度を変える変えない、コロナ休校からの様々な日程変更 ましてやこういう子だから 心配は絶えないけれども
受動型だからこそ、親に言われて変えたら絶対後悔する 自分がやりたいと思ったことを精一杯頑張ればどんな結果でも受け入れられるから もしうまくいかなくても、人生たいていのことは何とかなるから
この18年間言い続けてきたことを 改めて自分自身に言い聞かせる。
泣いても笑ってもあと半年。 丁寧に過ごしていかなきゃね。
あき父は 「なんだかんだ言って、こうして大学受験するって状態まで来れたんだよなあ」 と、感慨深い様子です。
『知的障害児通園施設』の看板の前でため息をついていた夫の姿を思い出します。 頻発するパニック、言葉の遅れ、 普通に幼稚園や保育園に通わせるのは無理だと 一生福祉のお世話にならなければ生きていけない子だと思い定めたあの日から 気が付けば10年以上の歳月が過ぎて
本当に大変なのは、むしろこれからだよ。 でも人生の初めに、やさしい人たちに出会えたこと 人間は、世界は怖くないと思って踏み出していけることは A太郎にとっての幸福だと思う。
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