実施主体は大学の中の、言語や学習能力の発達に遅れがある子を研究およびサポートする機関。残念ながらあきのすけは年齢の関係で対象外だが、公教育の早期介入プログラム以外にも自閉症の早期療育を受ける機会がある、ということだ。 残念ながら料金に関する記載が欠けているのだが、この部分に注目して欲しい。 PACT is generously supported in part by the Linda Atkins Memorial Fund. このプログラムにかかるコストは全額利用者の負担になるのではなく、さる財団がその一部を負担している。という意味だ。
例えば大学の講堂では月に数回コンサートが開かれ、この人口十万ちょっとの小都市にシカゴ交響楽団やウィーンフィルハーモニーが毎年やってきてフルオーケストラの演奏会をする。その入場料が100ドルしない。運が良ければ10ドルの当日券で入場できたりしてしまう。なぜかといえば、地元の銀行や企業がスポンサーとして運営資金を提供しているからだ。 日本でもバブルの頃はメセナだとか言って音楽ホールを作ったりしていたが、不況で尻すぼみになってしまった。しかしこちらでは、このようなスポンサーシステムによる無料もしくは低額の文化イベントがしょっちゅう行なわれている。先日のHands On Museum無料開放もそのひとつだ。大抵の催し物にはこのような協賛企業名がついている。そしていかにも広告目的といういやらしさはあまり感じない。かえって企業イメージを低下させることをよく知っているからだろう。
特殊教育についても、通称“No Child Left Behind”法に基づき、一定の水準を確保していると認められた自治体や学校に対しては補助金が交付される。我々のような外国人が無料で療育を受けられるのもそのおかげだ。教育内容への介入など弊害も指摘されているらしいが、とにかく「必要な人に必要な支援を、そのためにそれぞれができる限りのことをしよう」という精神を随所で感じる。