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ザラ半紙バンザイ |
『アスペルガー症候群・高機能自閉症の人のハローワーク』 テンプル グランディン、ケイト ダフィー著 という本を読みかけて、まだ途中なんですけれども。
障害特性と、職場で必要な配慮についての記述の中で、
背景と文字のコントラストが強すぎると読みづらい場合がある
という記述があって。 例えば薄い青や緑の紙に印刷したり 透明なプラスチックシートや下敷きを重ねることで読みやすくなる。 という方法が紹介されていたんですが
そう言えば あきのすけ、絵本を読む時に 食品保存容器(たとえばジップロックコンテナーとか)の青いフタを持ってきて 誌面に重ねて読んでいた時期がありました。
気が散りやすい子なので、「窓」を作ることでその部分に集中できるのかなー、ぐらいに思っていたんですが 「窓」なら別に白いフタでもいいわけで (実際、成形ポテトチップの白いフタを使っていたこともあるんですが)
そうか、もしかして「色」も重要な要素だったのか。 と思いました。
視覚刺激をコントロールする方法として、 サングラスやゴーグルはニキ=リンコさんのおかげで随分浸透したと思うのですが こういう見え方の問題ってあまり取り上げられることがないので (だってみんな自分に見えている世界が「普通」だと思ってるから) 面白いなあと思いました。
で、今朝、新聞を読んでいてふと思ったんですが 新聞に使われている紙って、決して「キレイな紙」ではないですよね。 それがかえって、文字の濃さとのコントラストを適正に保って 長時間読んでも疲れにくい効果を生んでいるのではないかと。
思えば我々の小学生の頃 学校から配られるプリントは基本的に「ザラ半紙」(*1)に印刷されたものでした。 真っ白な紙に印刷されるのは、 音楽会のプログラムとか、入学式や卒業式の案内とかそういった特別なものに限られていました。 あのちょっと灰色がかったような独特の色合いは いま思えばまことに目にやさしい、いい色合いだったんじゃないでしょうか。
ガリ版がコピー機に替わり 教科書がかわいらしいイラストたっぷりのカラフルなものに替わり まばゆいばかりの真っ白な紙に明朝体(*2)で書かれた文書が素人でも家庭のプリンターで作れるようになって キレイになった、と世間の人々が喜ぶ一方で
もしかしたら、よけいな苦労を新たに強いられる子どもたちがいたのかもしれないと思います。
携帯端末のおかげで救われる子どもたちもきっとたくさんいる。 でも、紙媒体の新聞や書籍を必要とする人たちもきっとたくさんいるから
技術の進歩について行けない自分がいた時 その進歩の方向性は正しいのか?と 誰のための技術なのか?と たとえ笑われても問うてみる勇気が これから中高年に突入していく我々世代には必要なのかもしれません。
(*1) 「ザラ半紙」は関西地方の呼び方で、正式には「わら半紙」と言うんだそうです。 「ペン先や鉛筆の先が引っ掛りやすく…消しゴムで消すと破れることもあった。」(Wikipedia) 確かにそうでしたねえ。そういう意味ではやっぱり使いにくい紙だったのか。 でもそれは「子どもがガサツなせいじゃなくて紙のせい」に出来た時代でもあったかも。
(*2) 読字障害の方たちには、明朝体というのは非常に読みづらい書体なので ゴシック体系統にしてもらうだけでもだいぶ違うんですよ…という話を伺いました。 でもWordのフォント設定って、デフォルトは明朝体なんですよね。 だから無意識に入力すると、明朝体の文書が出来上がっちゃう。 いえ、自分で設定変更すればいいんですけど。
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