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ミクログリアと自閉症 |
自閉症児・者にアレルギー素因を持つ人が少なくないようだ、 食物アレルギーの治療を行なったところ自閉症の問題行動も軽減した、 脳内の炎症反応が自閉症と関連があるかもしれない、
そういった話を断片的に耳にする機会はあったのですが 私自身、医学的な研究の場にいるわけではないので なかなか最新の研究動向を確認することもできずにいました。
先日「ミクログリアと統合失調症の関連が近年明らかになってきている」という地元医師の談話を 職場に転がっていた業界新聞で目にしまして
自閉症も昔は統合失調症と混同されていた時代があるぐらい いくつか共通する徴候があるものですから ひょっとして、と思ったわけです。
で、連休中にちょっくらぐぐってみましたら こんなお話が出てきました。
1.細胞外グルタミン酸上昇による脳形成障害、神経細胞変性、精神疾患
2.正常眼圧緑内障の発症におけるグルタミン酸トランスポーターの役割 http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/pharma1/transportsome/newsletter/newsletter_05.pdf
いずれも東京医科歯科大学の田中光一先生のお仕事ですが 私なりに要約しちゃいますと 1. 脳内で免疫反応に関わっているのはミクログリアという細胞です。 この細胞には、グルタミン酸を運ぶタンパク質が2種類あります。 遺伝子操作で、このうちのひとつGLASTというタンパク質を持たないマウスを作りました。 そうすると、 遠くの神経細胞どうしが接続できない(これは以前TIME誌の自閉症特集記事にも書かれていました) 新しい環境に置かれると落ち着きなくウロウロする 初めて会った他のマウスに対してにおいをかぐ(=関心を示す)ことが少ない(社会性の障害) 学習障害=認知障害を示す
本文中では統合失調症の症状といっていますが いやあ、これは自閉症の症状、でもある、でしょう。
2. グルタミン酸を運ぶタンパク質の遺伝子を マウスは父方からひとつ、母方からひとつ、合計ふたつ持っているわけですが その片方が正常(+)で、片方を遺伝子操作で人為的に働かなくした(-)。
さらに、1.でもお話したとおりこのタンパクにはGLT1とGLASTとの2種類がありまして
つまり、このふたつのどちらの遺伝子も通常の半分しか持っていない、っていうのが GLT1(+/-)&GLAST(+/-)マウス。
なんかややこしいですね。 メンデルの法則を覚えてないとつらいなあ。
なんせ、こういう遺伝子の組み合わせをもっているマウスが、 脳の形を見ても 行動面を見ても 非常に自閉症に似ている。 しかも5:1の割合で雄に行動異常が多い。 ヒトの自閉症でも、関係のある遺伝子の候補のひとつとしてGLT1が挙がっている。 というんですね。
きょうだい児でも発症したりしなかったりっていう中途半端さも こういう微妙な遺伝子の組み合わせの問題と考えれば、少し納得がいく。 血液型だってきょうだいで同じだったり違ったりするんだものね。
なんか、免疫の話からは若干遠ざかった趣きもありますが ちょっとずつ解明が進んでいる気がして嬉しいです。
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