ＡＵＴＩＳＴＩＣな日々すくりばす

すくりばす

あきのすけの学校は遠い。我が家は市内の東端に近い方だが学校は西の果てだ。自家用車でも二十分近くかかるのだからバスだともっとかかるだろうと覚悟はしていた。
しかし事務員さんから電話連絡を受けた時、私は耳を疑った。
“Pick up time is about seven-twenty five.”
「え？セ…セブン？」
“Yes, seven. And drop-off is twelve fifty.”
「Twelve…フィフティ？ノット　フィフティーン？」
“Fifty. five-oh.”
おいおい。授業時間は８時４５分から１１時半だよ。三時間弱の授業のために片道１時間２０分？いくら車が好きでも、３才の幼児には、ちょっと長旅じゃああーりませんか。
やはりここは私が送り迎えを…でもこの時期、先週みたいな大雪が降ったら…うーん、やっぱ頑張ってもらうしかないかあ。

前日の夜、新しく作ったスケジュール表を見せながら言い聞かせる。
「明日から、バスに乗って学校だよ。お母ちゃんとはバスの前でバイバイ。先生と、お友達と一緒に乗っていくよ。７時２０分には出発だから、頑張って早起きしようね。」

そして月曜日の朝。親は６時に起きて子供を起こしにかかるが、当然まだ眠いのでグズグズグニャグニャ。「トイレいこう」「といれ、おしまい」「じゃあ、お着替え」「おきがえ、いららない。おひるね！」「はいはい、バス乗ってからお昼寝しなさい」と格闘すること３０分、半強制的に着替えとトイレをさせる。ここまで済めばとりあえず送り出すことは可能だ。「学校で朝食をとらせることも可能ですよ」とIEP meetingの時に言われたのはこういうことだったのかと納得する。
なんとか朝食を済ませ、上着を着せてバス乗り場へ向かう。外はまだ暗く、雪も舞っている。バス乗り場で待っていると、中学生と思しき年頃の子達が数人集まってきた。（まさかこんな大きい子達と一緒のバス？）と思ったが、やってきたバスは聞いていたのと違う番号。彼らはみんなそのバスに乗って行ってしまった。
さらに待つこと数分。既に予定の時刻を十分近く過ぎている。「今日が初日だし、まさか忘れられてるんじゃあ…」「運転手が道に迷ってるとか？雪で遅れてる？」「寒いし、あんまり遅いようだったら自家用車で送っていこう。でもここで家に引き返すって言ったら、あきのすけ怒るだろうなあ」などとあき父と話していたら、ようやくバスが来るのが見えた。今度こそ２４番のバスだ。
入り口が開いて、いかにも気のよさそうなおばちゃんが顔を出した。
「この子があきのすけです。High Point Schoolまでよろしくお願いします」「大丈夫、Car Seat（チャイルドシート）に座らせるからね」と、通じてるんだかなんだかよくわからない会話のあと、あきのすけは車内に消えた。

さて昼過ぎ。昼食の支度をしながら時計を見るともう１２：４５。そろそろ迎えに出なきゃ、と窓の外を見ると、黄色いバスが止まっている。慌てて上着を引っ掛けて出てみると、案の定２４番のバスだ。子供の乗降サインが出ているので追い越しできない車が数台後ろに詰まっている。きゃあぁ。
長旅にもかかわらずあきのすけは笑顔で元気に降りてきた。今日も学校は楽しかったようで、かばんに入っていたお絵かきの作品を「ぺたぺた、みんな」と解説してくれた。よかったよかった。

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【2005/12/21 00:27】療育（米国） | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)

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