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ぼくはおこった |
あきのすけはこのごろ、パニック泣きをしている最中に、 「学校壊しちゃう」 「川があふれて、みんな流されておぼれちゃった」 などと、ネガティブで破壊的なイメージを口にするようになった。 特に4月、学校生活にストレスを感じている頃にひどかったように思う。 これまでの彼はいたって平和主義で、暴言の類に悩まされたことがなかったので 母はいたく動揺し、 「そういう言葉は使うもんじゃない」と諭したり 無視する作戦に出たりしてみたものの、なかなか奏功せず。
学童の先生いわく「彼の心象風景だよね」。 で彼女は、「共感しつつ、ポシティブなイメージに誘導する」作戦をとったそうで。 「川があふれて、みんな流されて川をどんどん下って、海に出ました。ヤッター!海は広くて気持ちいいねー♪」て調子で。 うん、さすが現場の知恵。こんな楽しい対応法、教科書にはちょっと載ってない。
その後、行事や何やかやでプレッシャーのかかることも多く、 弟の反抗期で母も不機嫌な日が増え、 ちょっと家庭内にいやーなムードが漂っていたある日のこと。 あきのすけが学校図書館から借りてきた本。
『ぼくはおこった』 ハーウィン オラム (著)、 きたむら さとし (訳)
主人公のアーサー少年、コイツはすごい超能力者です。 怒りに怒り、怒りまくり、 雷を起こし嵐を呼び、街を破壊し海に沈め、 ついには地球も月も太陽系も「こっぱみじん」に砕いてしまうのです。ひゃああ。
こういう本を選んできたってことは、 共感できる何かがあったってことなんだろうなあ。
あきのすけの言語表出能力では「何じゃそりゃ???」だった、 少年の心に潜む攻撃性や破壊衝動を 視覚的に理解できる興味深い本でした。 絵の街並みがアメリカの旧市街を思い出させるのも懐かしくて○。
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