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準ひきこもり |
先日7/2(木)の朝日新聞「私の視点」で、富山国際大講師の樋口先生が 彼自身が「準ひきこもり」と名づけたあるタイプの若者たちに対する支援の必要性を訴えておられた。 彼によると準ひきこもりとは、
『社会性が低いため(大学)在学中は孤立し、 就職活動や社会人生活につまずくタイプの若者』
なのだそうである。 このブログを訪問されている方なら、 おそらくこの定義だけでもピンと来るものがあるのではないだろうか。
残念ながら朝日新聞の無料サイトではこの記事を公開していないようで リンクを貼ることができないのだが、気になった箇所を抜き書きしてみると 『他者との心の交流がほとんどない』 『長年自分ひとりの空想の世界に浸っている』 『他者と交わって嫌な思いをすることが多かったため、一種の条件反射で人付き合いを避けようとする』 『何かトラブルが起こった際には「辞める」ことによってしか対応できない』 『品行方正で非行や犯罪に走りにくい』 こうしたコミュニケーション弱者の学生はどんな大学にも『だいたい5~10%』存在する…。
仮にも「教育社会心理学」を標榜する先生が 発達障害について何もご存じないとはあまり考えたくないのだが(苦笑) 彼が「準ひきこもり」と呼ぶ一群の青年たちは、まさしく 「未診断の、ボーダー~軽度発達障害者」としか私には思えない。
彼の著書自体は読んでいないが、 「定義があいまいである」「性別役割論に囚われすぎている」「原因は親の育て方と単純に断じている」「自身の経験を投影しているだけ」「提案された解決策が有効とは思えない」等々の理由で、あまり評価が高くないらしい。 しかし方向性としては、私がこのごろ考えている 「なんとか障害のレッテルを貼らないで特性に応じた支援ができないか」 と軌を一にするものと思われる。
これまで「個性の範囲」「本人の努力が足りない」と放置されてきた人々に対し 社会性を高めるためのなんらかの支援が必要である、と社会に向け発信することの意義は大きいと思うし 発達障害というと今のところ未就学児への支援に偏りがちであるが 障害児教育とは一見無関係な、高等教育の現場から出されたこの提言は 非常に貴重なものであると感じている。
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