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風流を解さない男 |
例年GWはハイキングです。 高山植物を見ながら遊歩道をぶらぶら歩きます。 今年は水芭蕉を見に行ってきました。
木道を歩きながら、 「そこにお花咲いてるよ。きれいだね」 「あ、鳥が飛んだ。いい声で鳴いてるねえ」 「ほら、川が流れてるよ」 そんな声かけに、立ち止まって、母の視線の先を指差して、 「おぉ~!」と感動の声をあげるのは… Qちゃんです。
彼も反抗期に入りかけているので、これまでのようにおんぶ抱っこさせてくれません。 自分の足で歩くぜ!と強く主張します。 頼もしいのですが、いまだヨチヨチ歩きゆえ、なかなか前に進みません。 その上何か面白いものを見つけては、「おぉ~!」と言って座り込むので余計時間がかかります。
その間兄はどうしているかと言うと…。
母の声に一瞬反応して、チラッと一瞥、しているようないないような。 (見たよ。それが何か?) (どこまで行っても同じ花しかないじゃん。俺はもう飽きた。さっさと車に戻るぜ) 幼い弟や、写真を取りたい父に付き合ってやるつもりなど毛頭なく。 さすがにみんなの姿が見えなくなると不安になって引き返してくるだけマシだけれど、 ズンズン先に行っては戻り行っては戻り、皆の軽く倍の距離は歩いてるわね。
また別の日。 お寺参りのあと、久しぶりの街歩き。 ここでも帰りのバス乗り場目指して、ズンズン先を急ぐあきのすけ。 途中でお昼ご飯でもと思ったけど、許してくれそうにもない。
とある仏具店の店先に、風鈴がいくつか下げてあった。 夏のような陽気に、涼しげな音を立てている。 「あ、見て~金魚の形」「かわいいね」「おぉ~」と盛り上がる家族3人と… 数メートル距離を置いて、(いいから行こうぜ)というオーラを全身から発している男がひとり。
いや、疲れたのはわかるけどさあ。 キミがそぞろ歩きを楽しめない体質だってのは知ってるけどさあ。 協調性を期待しても仕方ないのはわかってるけどさあ。
「ホント、風流を解さない男だよね」 ウンウン、と深くうなずきあってしまう両親なのでした。
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