|
カレンダーボーイ? |
教科書的な書き方をすると、 自閉症の特徴として、イマジネーション障害ということがあり、「目に見えない事柄」を取り扱うことに困難がある。 過去のことを思い出して語ったり、未来についてあれこれ思い描いたりするのも難しい。
幼児で言えば、「今日幼稚園でさー、あれしてこれして、○○ちゃんがこんなこと言ったんだよ。」という風にきょうの出来事を報告するとか、 「ぼく大きくなったらトラックの運転手になるんだ」と未来の夢を語ること。 子供なら誰でも、そんな話をするのだと思っていた。 難しいことだなんて、思ってもみなかった。
だから今年度の目標は、「園での出来事を報告する」にしてみた。 給食の献立表や行事予定表は毎月配られる。 先生が連絡帳に活動内容など書いてくれることもある。それを手がかりに、リラックスできるお風呂の時間に質問してみる。 「今日のお昼は何食べた?」「何して遊んだ?」 最初は「にく・さかな」「おえかき・えほん・たいそう」のように選択肢を提示。 毎日繰り返すうちに、自分から「きょうはー」と話してくれるようになった。 「おさんぽで、○○ちゃんがころんじゃったの。」なんてことも報告してくれるようになった。
そのうち、ちょっとさかのぼった昔のことも話すようになってきた。
「運動会、10がつ6にち。パン食いしたねー。」 「親子外出、11がつ14にち。電車乗ったねー。バス下りて、階段登ったら、科学センター。」 うんうん。そういうイベント関係は印象に残るよね。楽しかったんだね。 テレビで鯛の話をしているのを見て、「タイの目が白かったねー。9がつ30にち」 何の話かと思ったら、Qちゃんのお食い初めに使った、鯛の尾頭焼きのことらしい。
デニーズの広告を見て、「スパゲッティ食べたね。おいしかったね。また行きたいなーデニーズ」でもデニーズ行ったのってだいぶ前の話なんだけど…。 「ねえ、それってQちゃんが生まれる前だっけ、後だっけ?」 「お母さん、(お腹)大きかった。6がつ」 ああそうだった、デニーズは産院の近くだから、お母さんのお見舞いのついでに連れてきてもらいなさいなんて話してたんだっけ。なんてことをぼんやり考えてたら。 「6がつ…2にち!」えっそうだったっけ? あき父に確認してみると、「確か家の購入手続きで不動産屋に行った帰りで、土曜日だったから…」カレンダーをめくると、確かに2日だ。ひゃああ。 6ヶ月前の、日付も、食べたメニューも、鮮明に覚えてるってこと?
日付というのは、きっと彼にとって、記憶を時系列で整理するための重要なタグなんだろう。それにしても、恐ろしい記憶力。 いわゆるカレンダーボーイというのとは、厳密にはちょっと違うけれど、近いものはあるよね。
スポンサーサイト
|
|