飛行機を出て下りエスカレーターに乗り込んだところで、母とあきのすけの上着を機内に忘れてきたことに気づく。思いのほか現地が暑かったのだ。たまたま後ろにいた乗務員に"I left my coat"と訴えてみる。返事は良く聞き取れなかったがあき父によると、引き返せないので行った先で誰かに相談しろと言うことらしい。入国審査の手前で空港職員に事情を説明したら取りに行ってくれた。それは良かったのだが、待っている間に他の乗客はすっかりいなくなってしまった。 空いたUS citizen用のカウンターで審査してくれるというので移動。黒人の女性審査官は初め気難しげにあき父に"What's the aim of immigration?"と質問。あき父緊張したのかたどたどしい英語で答える。"For J1 papers?"ときかれ、DS-2019を差し出すとようやく少しくだけた表情になり、指紋と顔写真を照合した夫が"Same person?"と話しかけると"Different!"(もちろん冗談)と返してくれた。私とあきのすけは特に質問もされず、笑顔で"Bye!"。 荷物を取りに行くと私たちの分だけが、停止したベルトコンベアー上に点々と残されていた。カートに乗せて、出国の時と違って機嫌のいいあきのすけに押すのを手伝ってもらい税関へ。現在アメリカには食品の持ち込みは原則禁止なので、トランクを開けて没収されたら嫌だなあと思っていたのだが事なきをえた。到着ロビーで出迎えの人と合流。あき父の勤務先の人が車で送ってくれた。新居の鍵をpick upし、荷物を置いてみんなであき父の上司に挨拶に行ったり、いろんな手続きのため事務所めぐりをしたり、当座必要な品を買いに行ったりする。 あきのすけは新しい家に入る時も場所見知りをせず、見知らぬ土地が物珍しく興奮している様子でおとなしくついてきたが、座りっぱなしだったり連れ回されたりでストレスがたまっていたのだろう。歩きながら「おそとであそぼう」と何度もつぶやいていた。