先週、職場の研修で睡眠について学ぶ機会がありました。
ノンレム睡眠の中でも、もっとも深い眠りのときに成長ホルモンが分泌されます。 成長ホルモンは、子どもの成長・発達と絡めて語られることが多いのですが 実は成人でも、少ないながら分泌され続けていて 脳の細胞の修復をうながします。 もし深い眠りが少ないと、脳の細胞が充分に修復されず 脳の働きが低下して日中にボーッとすることにつながります。
睡眠導入剤で得られる眠りではノンレム睡眠が比較的浅くなることが報告されていて これが、短期作用型の薬剤でも「翌日ボーッとする」ことにつながっているかもしれない。 一方、レム睡眠中は体の筋肉が緩むことで体が休まり、疲れが取れます。 また、「記憶の整理」大事なことを覚えておいたり、嫌なことを忘れたりといったことが行なわれます。 レム睡眠が不十分だと、記憶が定着しなくて大事なことを覚えていられなくなったり 嫌なことを忘れることができなくてストレスが溜まってしまうことになります。 レム睡眠とノンレム睡眠の両方が、体と心の健康にとって大切なんですが 医療用の睡眠薬でこの睡眠サイクルを整えるのは現状ではなかなか難しいです。
「レム睡眠とノンレム睡眠を切り替える、調節するメカニズムはわかっているんですか?」 と質問してみたんですが そこはまだよく解ってないらしく。 あとでネットで調べてみたら 「レム睡眠中は体温が下がり続けてしまうので、安全装置的に体温を上げてレム睡眠に入るんじゃないか」 という仮説があるらしいぐらいしか解りませんでした。
で、仕事の話をしていてもついつい発達障害に絡める思考回路が働いてしまうんですが(^ ^;)
・たとえばADHDのお子さんは脳の覚醒レベルが低いので、コンサータで覚醒レベルを上げようっていう治療を行なうわけだけど、睡眠時の脳波をとってみたらもしかしてノンレム睡眠が浅かったりするんじゃないか。
・嫌なことを忘れることができない…これってまさに自閉症児の脳だよね。 睡眠中の記憶の整理がうまくいかないから、フラッシュバックを起こしちゃうのかな。
・しょっちゅうパニックを起こしてたら、脳細胞のダメージが大きくて夜間の修復が追い付かないんじゃないか。
・発達障害児で、体温調節能力が弱いお子さんって多いよね。レム/ノンレムの切り替えも、うまくいきにくいんじゃないかな。
とか、いろいろ考えちゃって。
しばらく前に、「睡眠不足が発達障害の原因」みたいな話が流れて あれは「子どもを夜遅くまで連れまわしているけしからん親に警告を与える」という意図で発せられたので 子どもの寝かしつけに日々苦労している/してきた発達障害児の親からは ふざけんなよの大ブーイングが巻き起こったのだけれど。
もしあの話が 「睡眠障害を改善することで、発達障害の諸々の症状を軽減することができるかもしれない」 という言い方だったらどうだったろう。
「子どもを寝かしつけることすらできない親」に責任を押し付けるのではなくて 医学的な治療介入への、ひとつの可能性として語られていたなら。
もちろん、既存の睡眠導入剤の類では対応が難しいかもしれない、 睡眠に良いと言われている諸々の努力が必ずしも結果に結びつかないこともままある、 そのこともきちんと認めたうえで。
研究者とて医者の端くれであるならば 患者に寄り添った視点でものを言ってほしいと でなけりゃ↓前記事で お友達を注意するつもりで「バカヤロー」って言っちゃった3歳児さんと変わらないよって思った次第です。
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